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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1925年(Best Short Short)
メアリー・オースティン「パパゴウの婚礼」


物語の主人公はパンタック生まれのパパゴウの女性。彼女には綿花を栽培するシュウラーという名の白人男性との間に5人の子供がいた。彼とは生活習慣がまったく異なっていたため、修道女たちが彼女(夫は彼女のことをスウジーと呼んだ)に掃除や料理の仕方を教えた。彼女は黙っていそいそと彼に従っていたが、当時、普通なら結婚前に当然もらうはずの結婚証明書ももらわず、白人女性ならみな必ず身につけている帽子もまったくかぶらなかった。
スウジーがシュウラーと知り合った頃は、その辺りには白人はほとんどいなかったが、子供たちが大きくなり、背丈が彼女と同じくらいになった頃にはよく見かけるようになった。胸の大きな美人で、たくさんの帽子をもっている問題の白人女性がやってきたのもごく最近のことだ。独身であるその女性は毎回違う帽子をかぶり、シュウラーの車に同乗してよく出かけた。 ある日、その白人女性はシュウラーに「結婚証書もなしでやってくるような女と同棲しているから、いつまで経っても綿花栽培業者の中で実力者になれない」とけしかける。シュウラーも彼女の言葉に相づちを打ち、「俺の子供たちをあのパパゴウに取り上げられてしまって、俺はどうしたらいいのだ?」と嘆く。そして彼はスウジーを家から追い出そうと弁護士を雇った。…。
その後裁判が始まるが、なかなか知恵の回るスウジーにとって、シュウラーなど敵ではない。物語が進行する時代には掟や規律がいろいろありそうで、私は今のこの時代を生きる人間で良かったとつくづく思う。
(土井治訳/河出書房新社『世界100物語3[巧みな語り]』(サマセット・モーム編)所収)
                           (2004.10.25/B)

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