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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1965年
ドナルド・バーセルミ「マージン」


エドワードがカールにマージン(余白)について話している。
「マージンの幅が…」「左側に非常に広くマージンを残すのは…」「それに対し、左側のマージンが狭いのは…」
エドワードは自分の筆蹟分析の本を引用しながら、マージンの取り方によって分かる個性の違いについて説明しているのだ。
さらにエドワードは、話をカールが提げているサンドウィッチ・マン用の広告板に書かれた文字のことに移した。そこには一風変わった文句が書かれていたからだ。
“私ハ自分ガヤリモシナカッタデスガ一どる半ノ金ヲ盗ンダト言ワレテあらばま州せるびい郡刑務所に入レラレマシタ。私ガ牢ニイルアイダニ兄ハ殺サレ、小サイ私ヲ残シテ母ハ蒸発シテシマイマシタ。刑務所デ私ハ…”
エドワードはその字体にも筆蹟鑑定をしていくのだが…。

この作品のあらすじを紹介するというのは、なかなか難しく、また、そもそもあらすじの紹介自体が必要なのかどうかも疑わしい。訳者による解説にもあったが、1960年頃からアメリカで流行ったという筆跡分析や“マージン”という言葉から連想される「マージン(周辺)的人間」に引っかけて作品をひとつ作ってしまうというのは何ともバーセルミらしい。ラストシーンには、いつものことながらバーセルミのブラックなユーモアを感じた。
(志村正雄訳/国書刊行会『帰れ、カリガリ博士』所収)
                           (2006.3.25/B)

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