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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1956年
ソール・ベロー「ゴンサーガの原稿」


クラレンス・フェイラーは、マドリードの駅に降り立った。目的はひとつ、スペインの詩人、マヌエル・ゴンサーガの未発表作品を手に入れるためだ。彼がミネソタ大学でスペイン文学を学び、大学院でゴンサーガの詩に出会って以来、クラレンスは彼の作品に魅了されているのだった。
クラレンス曰く、ゴンサーガの詩はどう生きて行けばよいのか、人生に対してどのような接していけばよいのかを教えてくれるという。しかし、彼の詩は軍部と国家に対して批判的すぎたため、発禁処分を免れず、世間に日の目を見ていないのだ。
ところが、ゴンサーガの死後、彼の遺作を管理していたグースマン・デル・ニドーという名の男からゴンサーガの甥のひとりに宛てた手紙を、クラレンスは見る機会があった。その手紙に未発表の詩作がたくさん残されている根拠が示されていたのだ。
そこで、彼はスペインで次々とゴンサーガを知る人物に会い、詩人ゴンサーガの幻の作品を手に入れようとするのだが…。
詩の世界に魅せられた男が見る夢と現実。格調高さの中に俗世間が垣間見える。
(徳永暢三訳/新潮社『モズビーの思い出』所収)
                           (2006.12.13/B)

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