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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




2001年
ピンクニー・ベネディクト「ゾグ19」


マニュアル車の運転ができずにいる夫ドニー・マクギンティーを心配そうに見ている妻。ドニーはこれまでマニュアル車に苦労したことが一度もなかったので、彼が運転に手こずっているのがどうしても信じられなかったが、それもそのはず。妻が、いや飼い犬たちでさえドニーだと信じて疑わない、目の前で運転に四苦八苦している彼は、実はドニーではなく、地球人に化けてゾグ星から送り込まれたゾグ19だった。
絶滅の危機に瀕したゾグ星を防ぐために、地球という星に住むマクギンティーという名の農夫になりすませと命じられやってきたゾグ19。しかし、地球人に化けられる機械を発明した科学者ゾグ10億は、ゾグ19に地球で何をすればいいのか、具体的な指示をするのを忘れてしまっていた。そこで、ゾグ19が行う当面の目的はマクギンティーになりきること。自分がゾグ19であることを忘れてしまうほどマクギンティーになりきろうと、毎日努力を重ねた。
ただし、彼が知らないことがあまりにも多すぎた。ゾグ星には動物がいない。もちろん牛もいない。ゾグ星では言葉で意思を伝えない。セックスというものもない。そんな環境にいたゾグ19にとって、地球での生活は驚きと苦労の連続だ。
ところで、ゾグ19がドニー・マクギンティーとして地球に送り込まれた理由は一体何だったのだろうか?それはマクギンティー一族がゾグ星の存亡に極めて密接に関わっていたからだった。
ゾグ星人の奮闘ぶりを、少々の文明批判を交えながら面白おかしく描いたSF話。いやはやO・ヘンリ賞の裾野は広い。
(ウィリアム・N・伊藤訳/角川書店『ゾエトロープ[pop]』所収)
                           (2004.6.22/B)

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