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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1930年(Best Short Short)
マーク・コネリー「検死審問」


〈ハロー・アメリカ座〉の団員であるジェイムズ・ドールと、彼と一緒に住んでいたロベルが下宿先で死体で発見された。彼らは義理の兄弟で、ふたりともこびとだった。
そこで、一座の舞台監督で、第一発見者でもあるフランク・ワインガードが審問に呼ばれる。
彼は死体を発見した経緯や、最近のジェイムズの様子などについて証言。
そして以前、ロベルにも会ったことがあったが、ずっと職にありつけないせいか最近ロベルがとてもふさぎこんでいて、それにつられてジェイムズもふさぎぎみだったということも話した。
「今から三か月ほど前、六月のことでした。こびとを募集したところ、…ロベルは体が大きすぎたので、わたしどもとしましては採用できませんでした。…」
また、フランクはロベルが高年成長(30歳近くになってもう一度背丈が伸びること)したため、ジェイムズも、自分も高年成長して仕事にありつけなくなるのではと悩んでいたことも話した。
…ふたりは同じ肉切り包丁による刺し傷が原因で死亡したとされるが、果たして犯人は誰なのか、そして殺人事件の全貌は?
サーカスや曲芸団などが全盛の時代、こびとが人気者として世間から大いに脚光を浴びるなかで、このような悲劇とまでは言わないまでも、これに似たようなことは少なからずあったのだろうと推測される。
※「こびと(作品内では“小人”)」という言葉について、不適当な文言であると認識はしているが、ここではそのまま使用した。
(吉田誠一訳/エラリークイーン編・創元推理文庫『ミニ・ミステリ傑作選』所収)
                           (2005.5.5/B)

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