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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1928年(Best Short Short)
ゾーナ・ゲイル「婚礼の池」


裁判長がその事件の判決を下し、次の事件の審理に移ろうとした時、町で一番金持ちの百姓であるジェンス・ジェヴィンズが一歩前に進み出て、声高らかに言い放った。
「わたしは妻を殺したことを告白したい」
予想もしない彼の告白に、法廷内は水を打ったように静まりかえった。
「わたしは長い間アグナを殺すことを計画していました」
その静けさの中、ジェンス・ジェヴィンズはひとり話を続ける。
一週間も枕の下にピストルを隠して、妻の眠っている間に撃ち殺そうと思っていたこと。ある時には30分も引き金に指をかけたままベッドに座っていたこともあること。だが、いつもちょっとした理由から気後れして失敗に終わったこと。そして、そうこうするうちに寝室で撃ち殺すよりも、もっと良い方法を思い付いたこと。

「うちの屋敷の南に…池があります」
その池の周りには囲いがなく、木立で公道から隔てられている。そこでは子どもたちがよくカエル獲りをしているのだが、先週の晩、ひとりの子どもが池の中に落ちてしまうという騒動があった。その時はちょうど彼がいたので子どもを助け上げることができたが、池の深さは落ちたところで7フィート、その先では16フィートもある。彼はその騒動がきっかけで、“アグナを始末するのはここだ”と思ったという。
「あくる晩、わたしは夜まで待って、子供たちが蛙を獲るのを見に行こうとあれを誘いました」
アグナは彼の誘いに応じて、夫婦ふたりで散歩に出かけた。しかし暗い中、町からやってくる車は木立のところで曲がるのだが、それがまるで今にも自分たちの方に突っ込んでくるように見えて恐いとアグナが言い出したので、そのまま家に戻ることになり計画は失敗に終わった。……。
ではその後、彼の殺人計画はどうなったのか。
彼の妻殺害に関する事実が二転三転する中、最後に待ち受けるどんでん返し。
短いストーリーでありながら、十分に楽しめる内容に仕上がっている。
(永井淳訳/エラリークイーン編・創元推理文庫『ミニ・ミステリ傑作選』所収)
                           (2006.12.20/B)

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