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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1951年
カーソン・マッカラーズ「過客」


父親の葬式のためにパリからニューヨークに帰ってきたジョン・フェリス。父親の死はかなり前から予測していたが、いざ実際に起こってみると、これほどまで落ち込むとは自分でも思ってもみなかった。
そんな彼はパリへ戻る前の日の朝、ドラッグストアで朝食を摂っている時、窓の外に8年前まで幸せな結婚生活を共に過ごした元妻のエリザベスを見つける。彼女はジョンと離婚した後、再婚し、子供を産んだと聞いていた。彼女への愛はとっくの昔に消えていたが、不思議にもジョンの心と体に動揺が走った。彼はその夜、電話帳で番号を調べ、エリザベスに電話をしてみる。電話口に出る彼女。明日、彼女の家で会うことになった。
エリザベスの家に到着すると、ジョンを最初に出迎えてくれたのは赤毛のそばかすのビリィという少年だった。エリザベスの子供だ。家の中に入ると居間に彼女の夫、ビルがいた。
彼らと食卓を囲みながら語る何気ない会話。ジョンの父を「パパ」と呼ぶエリザベスに、「どうしてパパって言ったの?」と不思議がる息子のビリィ。イタリアで知り合った女性と近く結婚する予定だと嘘をつくジョン。彼らは束の間の晩餐を楽しみ、別れた。
自分のことを“過客”と表現するパリ在住のアメリカ人ジョンの孤独感を、父親の死やエリザベスの幸福な家庭と対比させながら、見事に表現している。
(佐伯彰一訳/集英社・現代の世界文学『アメリカ短篇24』所収)
                           (2004.3.6/B)

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