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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1967年(First Prize)
ジョイス・キャロル・オーツ「氷の世界」


年齢は30歳代前半、長身で若さと聡明さを兼ね備えたシスター・アイリーンは、大学で教鞭をとることになった。
聞いたところによると、イエズス会派の学校経営者が、男子の教官を採るより金の節約によいと彼女の採用を決めたという。
こうして新しい場所で仕事をすることになったシスター・アイリーンだったが、1学期が始まって2週間が経った頃、彼女の教室に新顔が座っていることに気付いた。
アレン・ウェインスタインという名の男子学生で、彼自身によれば3000ドルの特別給付生だという。コロンビアで学士号を取った後、この町に戻り、ユダヤ人なのにも関わらず、カトリックの大学に入ってきたという少し変わった学生だ。
彼は自己主張が強く、クラスの学生たちのことを“つまらん連中”と言うなど、言動に少なからず問題があった。しかし、シスター・アイリーンは自分を慕ってくる彼に対して、時折、気疲れを覚えるものの疎ましくは思っていなかった。

しかし…。
その後、彼は授業に出てこなくなった。その前の最初のレポート提出日にも顔を出さなかった。その時は翌日にレポートを持って現れたのだが…。
シスター・アイリーンは大学院事務室へ行って職員に聞いてみると、こういうことは以前にもあったという。
彼女は彼のことが心配でならなかった。するとある日、彼女のもとに彼からの手紙が届いた。
「親愛なるシスター・アイリーン」という文面から始まる手紙には……。
オーツの作品は、どれを読んでも主題となるテーマ群が複層的に絡み合い、考えさせられるものが多い。
(村上博基訳/角川書店『愛の車輪』所収)
                           (2006.12.18/B)

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