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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1960年(Second Prize)
フィリップ・ロス「信仰の擁護者」


時はヨーロッパ戦線が終局を迎えて間もない1945年5月。ドイツの前線で活躍したネーサン・マルクスは、曹長として内地勤務の命を受ける。着任日早々、中隊事務室で仕事をしていた彼の元に一人の新兵が訪ねてくる。彼の名前はシェルドン・グロスバート。金曜の夜に兵営掃除を行うのを止めてほしいと懇願しに来たのだった。聞くと、彼はユダヤ人で、金曜の夜は礼拝に行かなければいけないと言う。新兵がみんなで掃除をしている時に礼拝に出かけると、他の連中に文句を言われると言うのだった。自身がユダヤ人であるマルクスは、彼の申し出を聞き入れ、上司に上手く働きかけてやる。しかし、シェルドンはそれに味をしめたのか、その後ユダヤ人ゆえのさまざまな相談事を持ちかけるようになるのだった。
ロスにはユダヤ人を主人公にした秀作が多いが、本作品もその一つ。敬虔なユダヤ教徒としてふるまおうとするシェルドンに、異質さを感じる同じくユダヤ教徒のマルクス。信仰をどのように捉えるかが問題になるのだろうが、内容が内容だけに、話の奧はかなり深そうだ。
(井上謙治訳/白水社『現代アメリカ短編選集II』所収)
                           (2004.5.5/B)

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