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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1943年
ウィリアム・サローヤン「刃のように花のように」


これまで一度も見かけたことのない男がテーブル席に座って、長い間ピートを待っている。マックスはカウンターごしに「もう来る頃ですよ」と声をかけたが、ピートは一向に来る気配がなかった。すると今度はこぎれいな中年の女が入ってきて、ハイボールを注文した。マックスはハイボールをつくりながらテーブル席の小柄な男に「ピートに何のご用で」と聞くと、さっきの女が「何でしょうか」と言う。「失礼、あちらのテーブルのお客さんに言ったんです」と言うと、女は「彼は私の友人なんです」と答えた。
どうなってるんだ、とマックスは思った。その時、小柄な男は口を開いた。「私はあれの父親です」
ピートについていろいろ話す二人。「息子はあなたを不幸にします。…私はピートがとても好きなんです」と言う父親ヘンリーに、「あさって結婚することになっています…私たち、たいそう愛し合っています」と女は言った。
いつまで経っても店に現れないピート。しばらくしてヘンリーが帰り、午前二時になって、「店を閉める時間です」というマックスの声に女も帰っていった。
マックスは、その後店の片づけをして、コートを着てからゆっくりと一杯飲みだした。その時、店のドアをがたがた揺らす音が聞こえた。そして今度はピートの叫ぶ声が聞こえた。ドアを開けてやると、ピートが入ってきて…。
サローヤンの他の作品とは少し趣が異なるという印象を受けた、しかし全作を読んだわけではないので、この作品がどのような位置づけになっているのかというのはサローヤンを研究されている方にご意見をいただければと思う。それにしても、よくよく考えると女性がちょっとかわいそうすぎる。
(関汀子訳/ブロンズ新社『ディア ベイビー』所収)
                           (2004.6.1/B)

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