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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1955年(First Prize)
ジーン・スタフォード「動物園で」


姉のデイジーと私は、今日、デンヴァーの市立公園の中に動物園があるのを初めて知りやってきた。そこには老衰した盲目の北極熊がいたが、七月の暑さにまいっているようだった。
姉はその北極熊を見て、ある人を思いだしたようだ。そう、マーフィーさんのことを。

それはデイジーが10歳、私が8歳のときのこと。父と母がひと月と間をおかずに相次いで死に、身寄りがいなくなった私たちは、アダムズという町に住むミセス・プレイサーの元に預けられることになった。
ミセス・プレイサーは私たちの母方の祖母の幼なじみで、長い間未亡人生活を送っていた。父は私たちを養育するという条件で彼女に遺産を相続させたのだ。
私たちは両親を亡くし涙が涸れる間もなく、ミセス・プレイサーの家にやってきた。
そこでの生活をふり返ってみると…。
彼女ら二人に対するミセス・プレイサーの仕打ち。マーフィーさんと共にした時間のこと。マーフィーさんにもらった犬ラディのこと。そしてラディの最期。……
不遇な少女時代を過ごした二人。だが、彼女たちはこれまでもそうしてきたように、これからも自分の人生を自分で切り拓いてたくましく生きていくことだろう。
(大津栄一郎編訳/岩波文庫『20世紀アメリカ短篇選(下)』所収)
                           (2006.12.16/B)

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