ピエール・カミを読む






「仇討二重奏」


ある家の中庭で、6階に住む年老いた女曲馬師が窓から転落死するという事件が起こった。偶然なのか、この女曲馬師は家の2階にある研究室に運ばれようとしていた、巨大な地球儀の大西洋の部分に頭を突っ込み、溺死した。
この地球儀には中に水がいっぱい入っていて、その水で溺死したというのだ。
これは計画的な犯行だと確信したオルメスは、まず女曲馬師の部屋から捜索をはじめた。
室内で目に付くものと言えば、かつて彼女とともにサーカス界で一世を風靡した馬(現在は剥製)が窓際を占拠していること。そして窓がすべて閉まっているなかで、一枚だけガラスが欠けているところだった。
オルメスは床の上に散らばっていた破れた紙片を調べているうちに、どうやら事件の真相を解いたようだった。
「いずれはきっとそんなことだろうと思っていた。これで万事解決だ!」
オルメスの推理が光る。
(吉村正一郎訳/出帆社『ルーフォック・オルメスの冒険』所収)
                (2005.5.27/菅井ジエラ)

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