志賀直哉を読む




「或る朝」


明治41年1月12日。祖父の三回忌の法事を行う日の前の晩のこと。
信太郎と並んで寝ている祖母が、明日は坊さんが来るので早く起きろと彼に念を押している。
しかし、明朝彼女が彼を起こそうとしても、彼は返事をするだけで一向にふとんから出てこようとしない。
「大丈夫、直ぐ起きます」
「起きると云えば起きますよ」
「わきへ来てそうぐずぐず云うから、尚起きられなくなるんだ」
彼はもう眠くはなかったが、余りに起きろ起きろというので逆に起きにくくなってしまうのだった。
依怙地になった彼に業を煮やした祖母は“不孝者”という言葉を残して、部屋を出ていってしまう。
これで祖母も来ないだろうと思った信太郎は、ようやく起きて自分の寝床をたたみ始める。そして服を着替えていると、祖母がまた部屋に入ってきて…。
志賀直哉はよく日常の何気ない光景を切り取って優れたストーリーに仕立てるが、この話では家族愛が彼一流の手法で見事に描かれている。

登場人物
信太郎
祖母
上の妹
芳子(二番目の妹)
信三
                      (2006.3.28/菅井ジエラ)

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