ピエール・カミを読む






「調律師殺人事件」


ある家の部屋で、もともと調律師をしていたという老人が安楽椅子にもたれたまま、死体となって発見された。顔には恐怖の表情を示しており、単純に自然死と考えるのには疑問が残った。そこでオルメスが登場。彼は死体を調べていると不思議な点を一点発見した。この調律師はかつらをかぶっていたのだ。
「おっしゃるとおりです。この男は老人のくせに頭髪が黒くてどっさりあるものですから、それで、謙遜の意味で禿頭のかつらをかぶっていたのですよ」
オルメスは禿頭のかつらをこの老人に売ったかつら屋を呼び、おもむろに聞いた。
「この禿頭のかつらには何本毛があるのかね?」
「四万本でございます」
オルメスはこのかつらから犯人を突き止めることができるのか?
(吉村正一郎訳/出帆社『ルーフォック・オルメスの冒険』所収)
                (2005.5.27/菅井ジエラ)

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