P・G・ウッドハウスを読む



「エクセルシオー荘の惨劇(Death at the Excelsior)」(1914)


サウサンプトンにある下宿エクセルシオー荘は、主に引退した船乗りたちが余生を暮らす住処となっている。下宿の女主人であるミセス・ピケットは巷でも評判の婦人で、清潔で賄いも付いたこの下宿についての悪い噂は、今まで一度も聞いたことがなかった。
しかし、ある日、ここを舞台に変死事件が起こる。鍵のかかった部屋の中で、そこに住んでいたジョン・ガナー船長が、床の上で天井を見上げるようにして死んでいたのだ。
ガナー船長と同部屋だったマラー船長は前日よりポーツマスに行っていて、あいにく連絡がつかず。駆けつけた医師は、(あくまでも応急的な診断だとしたうえで)脳卒中や心臓発作といったいわゆる病死ではなく、何かの毒物による中毒死だと述べた。その後、詳しく調べてみるとやはり死因は毒物。さらに不思議なことに、その毒とはインドに住む毒蛇、コブラのものという。だが、一体なぜ部屋にコブラの毒があったのだろうか?そして、そもそもこの事件は事故死なのか、それとも殺人なのか。
真相究明の依頼を受けた探偵社のポール・スナイダーは、つい最近入社したばかりなのに、スナイダーの探偵社の捜査方法にメスを入れようと懸命になっている若手の探偵、エリオット・オークスを現地に向かわせたが…。
ユーモア作家ウッドハウスには珍しい密室ミステリ。最後の結末までしっかりと理詰めで展開されており、彼の多才ぶりが感じられる。

★所収本
・浅倉久志訳/光文社文庫<カッパノベルス>・エラリー・クイーン編『新世界傑作推理12選』、同訳/「EQ」1978年11月号<6号>(エクセルシオー荘の惨劇)

                      (2005.1.31/菅井ジエラ)

 

 

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