P・G・ウッドハウスを読む



「ゴルフは非情(The Rough Stuff)」(1920)


夕暮れ迫るクラブハウス。最長老(オールデスト)メンバーは若者の話を聞いていた。
どうやら、この若者は彼女のことで悩んでいるらしい。
「どこから見ても、最高です。でもなぜか──自分でも分からないのですが──彼女がゴルフをするのを見ていると、やっぱり女性の居場所は家庭じゃないかという気がするんです」
事情を飲みん込んだ最長老メンバーは、
「…フィアンセにはゴルフを続けるよう励ましつづけることだね。あとに大きなご褒美が待っているから…」
そう言って、ある2人の話をしだした。

話の主人公、ラムズデン・ウォーターズは、不細工顔のさえない男。
“男らしさとか自信とかは、ふにゃふにゃのゼリーも同然”で、“男性に対してさえ著しく臆病”、“女性への振る舞いといったらただちに彼女たちの軽蔑と不興を買う始末”。
彼は間もなく、“世捨て人”のような生活を送るようになった。
そんな彼の心を慰める唯一のもの。それがゴルフだった。いつも朝から1人で、コースを回っていたのだが、ある夏の日、彼の人生を変える運命の出会いが1番ティーであった。

彼がティーショットを打とうとした、まさにその瞬間、背後で男の子が大きな声を出した。ラムズデンは怒りがこみあげてきたが、それをグッとこらえた。というのは、目を見張るような美人が近づいてきたから。
彼女の名前はユーニス・ブレイ。
“彼女の姿を初めて見た男どもの例にもれずラムズデンも、二十二階に五臓六腑をあらかた残したまま直行エレベーターで十階を通過中のような気分になった。…”
一目で恋をしたラムズデン。だが、“持ち前の押しの弱さ”では、彼の思いは叶うわけがない。
ただ、慰めなのは、彼以外に彼女めがけて馳せ参じたどの独身男も“ラムズデン以上の成果を挙げていない様子”だったことだ。

…この後、ラムズデンは、ある出来事がきっかけでユーニスとの恋を成就させ結婚するのだが、さて、何が2人に起こったのか。

末永く、幸せな結婚生活を送れることを切に願います。

★所収本
・岩永正勝・坂梨健史郎訳/集英社インターナショナル『P・G・ウッドハウスの笑うゴルファー』(ゴルフは非情)

                      (2010.3.2/菅井ジエラ)

 

 

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