フランス文学を読む



ピエール・カミ「ロビンソン・クルーソーの恋」



所はロンドンにあるロビンソン・クルーソーのアパート。
ロビンソンが世界中にその名を知らしめた冒険を終え、イギリスに帰ってきて早10年になる。
今では忠僕のフライデーと可愛いオウムとともに幸せな生活を送っている。
フライデーは今では六人の子持ちで、上からマンデー、チューズデー、ウェンズデー、サーズデー、(フライデーを飛ばして)サタデー、サンデーという名の子供たちはみんな元気だ。
ところで、ロビンソンはストーム侯爵夫人としばしば逢瀬を楽しんでいるのだが、約束の日を決める際には、例えばその日が火曜日ならチューズデーを使いに、水曜日ならウェンズデーを使いに出して彼女に知らせるという方法を取っていた。
今回はフライデー自身が夫人のいる城の前をぶらついてくれたので、明日の金曜にきっと会えるだろう。
しかし、ここで不測の事態が起こった。匿名で侯爵が昨日あたりから夫人を監視しているという手紙がロビンソンの手元に届いたのだ。
このままではロビンソンと侯爵夫人の関係が侯爵にばれてしまう。
侯爵は四五日中に狩りに出かけるということなので逢い引きの日を八日間延期したいのだが、どうすればそれをうまく伝えることができるだろう?
その時、フライデーは、わたしが責任を持って夫人に知らせるとロビンソンに伝えるのだった。
果たしてフライデーはロビンソンの伝言をどうやって夫人に伝えるのだろうか?
あまりにも献身的すぎるフライデー。あまりにもかわいそうなフライデー。このオチはちょっとブラックすぎる。
(水谷準訳/日本出版協同『第二ふらんす粋艶集』所収)
                      (2005.5.8/菅井ジエラ)


 

 

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