P・G・ウッドハウスを読む



「恋とブルドッグ(Love Me, Love My Dog)」(1910)


アリィヌ・エリスンに思いを寄せるジョン・バァトンは、いつも何とか彼女と二人きりになりたいと思っているのだが、そんな時は決まってバァティ・ヘンドオル卿が割って入ってくる。彼女とバルコニーで美しい月を眺めていた時もそう。『ほんとうに綺麗ね』とアリィヌがジョンに言うと、『いや私は何と云っても、地中海の海辺で眺めた月が一番だと思いますね』と背後から声をかけてくるといった具合だ。
バァティ卿はおしゃべり好きで、しかもジョンと違って旅行が趣味だった。アリィヌの両親が大の旅行好きで、バァティ卿としょっちゅう話をしているので、アリィヌ争奪戦はバァティ卿の一歩リードといった感じだ。
そんな折、ジョンの友人が急病になり、彼は急遽出発しなければならなくなる。ジョンは10日か15日ほどでまた戻って来られるものの、その間にアリィヌとバァティ卿の仲がどうなっているかを考えるといてもたってもいられなかった。翌朝、暗い顔で車に乗り込み、その場を後にしようとした瞬間、この家の執事であるケッグスがジョンのところにやってきた。そして、アリィヌのたっての希望でジョンが連れてきたルビィという名のブルドッグをどうするか尋ねた。ジョンは仕方なくルビィも一緒に連れて行こうとしたが、アリィヌがやってきてルビィは置いていってと懇願するのだった。
そんなわけで、ジョンの不在中、ルビィはアリィヌの元に。『あたしの傍から一刻も放しはしませんわ』と約束した彼女はいつもルビィと一緒だったが、それに困ったのがバァティ卿。何故なら彼は大の犬嫌いだったからだ。
バァティ卿はケッグスに聞く。『お前はいくらであの犬を殺してくれるのだ?』ケッグスはその場では答えなかったが、それから4、5日経ってバァティ卿の元に再び現れた。そして、犬の件で名案があると彼に話すのだった。
そしてその案は実行されることになり…。
ケッグスものの一つ。バーティ・フェンドール卿がいい味を出している。

★所収本
・訳者不詳/「新青年」昭和5年新年増大号(恋とブルドッグ)

                      (2005.2.27/菅井ジエラ)

 

 

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