P・G・ウッドハウスを読む



「名探偵マリナー(The Smile That Wins)」(1931)


釣魚亭の酒場が、イギリス貴族たちの道徳観念の低下ぶりについての話で盛り上がっていた時、マリナー氏が話題にしたのは、以前探偵業をしていた甥のエイドリアンのことだった。
エイドリアンは飼っている犬を探してほしいと探偵社に依頼にやってきた、ミリセント・シプトン=ベリンガーという名の女性と仕事を通じて懇意になり、ついには結婚を約束するまでになった。しかし、彼がプロポーズをした翌日、彼女はうかない顔をして彼のもとに現れる。
彼女がそんな表情を見せていた理由は簡単。彼女の父であるブランボルトン卿は大の探偵嫌いで、娘をジェスパー・エイドルトン卿という男と結婚させようとしていたのだ。
それを聞いたエイドリアンは持病の消化不良がますます悪化し、胃痛がやまない。痛みに耐えられなくなって、医者に相談に行った時、笑うと痛みが治まると聞いてから、彼は胃痛が起こると決まってモナリザの微笑みのように、ぎこちない意地悪そうな笑みを浮かべて苦痛に耐えるのだった。
ところで、彼女の父親が彼らの結婚に反対しているからと言って、そうですかと納得して引き下がる彼ではない。そんな折、願ってもないチャンスが回ってきた。というのは、週末にブランボルトン卿とジェスパー・エイドルトン卿が招かれている家に、エイドリアンも行くことになったからだ。
果たして、彼とミリセントは無事結婚することができるのか。

★所収本
・井上一夫訳/筑摩書房『マリナー氏ご紹介』、同訳/同『〈世界ユーモア文庫9〉マリナー氏ご紹介/トッパー氏の冒険』、同訳/同『マリナー氏ご紹介/マルタン君物語』、同訳/早川書房「ミステリマガジン」1958年7月号<25号>、同訳/早川書房・早川書房編集部編『名探偵登場V』<HPB254>(名探偵マリナー)
・長谷川修二訳/東成社『玉子を生む男』(微笑地獄)

                      (2005.2.17/菅井ジエラ)

 

 

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