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ミステリを読む




イゴール・B・マスロフスキー
『まだ殺されたことのない君たち』


今やアメリカ文学界の重鎮ともいえるレスター・キャラダインが、自宅でパーティを行った日の夜、ベッドの上で死体となって発見される。検屍の結果、毒殺された模様。しかし、誰の手によるものかは、まったく判らず、現場に犯人を示す証拠となるようなものは一切なかった。
レスターの周りを囲む取り巻きの中には、彼の成功を羨む人間がたくさんおり、いわば誰もが殺人犯になり得た。警察はハウアリー警部を捜査責任者として、パーティ当日にレスターの邸に招待されていた人たちを中心に捜査を進める。
しかし、犯人を捜したいのは何も警察ばかりではない。当の本人レスターでさえ、誰が自分を殺したのか検討もつかなかったのだ。そこで、彼は幽霊となって捜査を見守るのだった。
その後、捜査線上にひとりの男が現れ、警察は彼を逮捕。法の手により、死刑が執行されるのだが…。
幽霊がストーリーテラーとして出てくる作品は、本作品の他にもいくつかあるが、本書には無理なところもそれほど目に付かず、楽しく読むことができた。
随所にフレンチミステリらしいエスプリが見られ、また結末に向かって、ひとひねり入れようと工夫を懲らす作者の試みは評価したい。
(木々高太郎・槇悠人共訳/東都書房)
                           (2006.1/22/菅井ジエラ)

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