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スティーヴン・リーコック「盗まれたプリンス」


変装の名人である大探偵が事務所で座っていると、秘書役の男が中に入ってきて恐ろしく興奮した口ぶりで言った。
「奇々怪々なる事件が行われました!」
その事件は“全欧州の警察を五里霧中に迷わせている”大事件だという。
「…話して見給へ」
「ウルテムベルグのプリンスが誘拐されたのです」
秘書役はそう言って、大探偵に一通の電報を渡した。パリの警視総監から来たという電報には、こう書いてあった。
「ウルテムベルグのプリンス盗まる。ロンドンへ送られたるものらし。博覧会開会当日までに是非共取り返す必要あり」
大探偵はすぐに行動を起こした。
「直ぐ巴里へ電報を打って、プリンスの人相書を訊いてやり給へ」

こうしてプリンスの居所を探すことになった大探偵。しかし、まさかプリンスの正体が○○だったとは?
ある名案を思いついた大探偵と、最後の最後に大探偵に待ち受けていた、何とも皮肉な運命。
ここまで書くと、書きすぎか(笑)。
(東健而訳/改造社・世界大衆文学全集34『世界滑稽名作集』所収)
                      (2006.8.19/B)

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