最終更新日 2006年1月9日

全米図書賞受賞作品を読む

●全米図書賞について
全米図書賞は1950年に創設された賞で、毎年優れた文学作品を発表したアメリカ人作家に贈られる。
過去の受賞者には、第1回受賞者のネルソン・オルグレンをはじめ、フォークナー、ベロー、アップダイク、ティム・オブライエンなどがいる。
また以前、映画化されたスタイロンの『ソフィーの選択』やアーヴィングの『ガープの世界』、アリス・ウォーカーの『カラーパープル』、マッカーシーの『すべての美しい馬』なども受賞している。
アメリカにおいては、いわゆる純文学といわれるジャンルの中では最高の賞といえるだろう。
                  →これまでの全米図書賞歴代受賞作品リストを見る


【作品レビュー】     

最新アップ状況 
NEW! 1969年 イエールジ・コジンスキー『異境』(2006.1.9)

目 次 
1969年 イエールジ・コジンスキー『異境』


近日アップ予定 
1950年 ネルソン・オルグレン『黄金の腕』
1959年 バーナード・マラマッド『魔法の樽』
1960年 フィリップ・ロス『さようならコロンバス』
1965年 ソール・ベロー『ハーツォグ』
1980年 ジョン・アーヴィング『ガープの世界』


1969年 イエールジ・コジンスキー『異境』
旅の途中、小さな駅で降りた「わたし」が近くの村で見た“秘密ショー”。革命に参加した「わたし」が、捕虜の処刑に立ち会った時の話。「わたし」がトラックドライバーをしていた頃、スピードとスリルを楽しむゲームに出場した時に起きた悲惨な結末。仕事がなくて、来る日も来る日も村のみんなから唾を吐かれ、鞭打たれ、虐待されていた「わたし」が、ある日農夫の娘におこなった“ささやかな”復讐。……。
「わたし」が体験する20あまりのエピソードと合間合間に挿入された男女の会話から成る物語。
物語に終始一貫した筋は形成されていないが、その内容は全体的に“死”や“グロテスク”などといったキーワードでくくられる。
エピソードに出てくるどの人間からも希望を見いだすことはできず、ヒューマンな感情が感じられない。
ストーリーを追いながら読んでいくというものでないため、私の場合、作品の解釈に苦しんだ。
第一に作品タイトルである“STEPS”の意味するところは何なのかが私には分からなかった。その答えを知るには、もう少し深く掘り下げて読み込む必要がありそうだ。
(青木日出夫訳/角川書店 海外純文学シリーズ・10)
                           (2006.1.9/菅井ジエラ)

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