P・G・ウッドハウスを読む



「ブローチ騒動(The Level Business Head)」(1926)


アクリッヂ(ユークリッジ)は、ジョーという名の弁護士に金儲けの話を持ちかけられる。貸し金の抵当に犬を取ったが、それが今度行われるウォータールーカップを間違いなく制するといわれるほどのダントツの優勝候補だから、あなたも半口分のらないかというのだ。アクリッヂははじめは金がないと突っぱねていたが、ジュリア叔母さんが旅行をしている間に、彼女のブローチを質に入れて金を作り、帰ってくるまでにまた戻しておけばよいと考え、実行に移す。
しかし、その後、想像もしなかったことが起こる。ジョーからあの犬が死んでしまったという電話があったのだ。これは最初から仕組まれていたことで、ジョーにまんまと一杯食わされたのだった。
叔母さんが帰ってくるまでに質流れを何とかくい止めて、ブローチを買い戻し、家においておかなければいけない。だが手持ちの金はない。どうする?アクリッヂ!?
果たして、彼はどんな方法でジョーから金を取り戻すのか?
こういった類のことにかけては、まさに天才のアクリッヂ。今回も冴えに冴えている。

★所収本
・太田五郎訳/「新青年」昭和14年新年特大号(ブローチ<衿止>騒動)
・岡成志訳/東成社『愛犬学校』(犬を売る話)

                      (2005.3.4/菅井ジエラ)

 

 

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