ピエール・カミを読む






「骸骨の失踪」


オルメスがとある寝室で休んでいた時のこと。ある男が寝台に臥せながら話しかけてきた。
「実は昨晩、私は自分の骸骨を盗まれましてね」
この男は毎晩家に帰ってくると、X線でからだを見るという。それが昨晩チェックするのをうっかり忘れたので、起きてすぐに検査をしてみたところ、自分の骸骨がなくなっていることに気付いたというのだ。
そんな馬鹿げた話があるのか。オルメスは過去のどの事件にもまして難解な事件を解決すべく、自宅の推理室にこもり、両足を天井に逆さになってぶら下がりながら考えをめぐらした。
そして解決の糸口を見つけだしたのだった。
さすがオルメス、警察も一目をおく名探偵といわれるだけのことはある。
(吉村正一郎訳/出帆社『ルーフォック・オルメスの冒険』所収)
                (2005.5.27/菅井ジエラ)

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