P・G・ウッドハウスを読む



「空腹と栄養学(Jeeves and the Old School Chum)」(1930)


友人であるビンゴの家を訪れたバーティー。彼の目には、小説家のロジー・M・バンクスと結婚をしたビンゴがとても幸せなように見えた。彼はもう少し滞在したかったが、ジョージ叔父さんが病気になったので、やむなく一度帰ることに。「すぐに戻ってくる」とビンゴに約束して家を後にしたが、戻ってくると彼はなぜか浮かない顔をしている。聞いてみると悩みができたということだった。
その悩みはロジーの学生時代の親友で、今ふたりの家に遊びに来ているローラ・パイクという名前の女性が原因らしい。
何でもその親友というのは、食べ物にうるさいらしく、食事の席では決まって、この食べ物は体に悪いとか、食べる量はこれだけにしないといけないとかいろいろ言ってくるそうだ。おかげで、食事の席で口にできるのは野菜ばかり。大好きなお酒も飲めない。ローラは悪い例としていつもビンゴの食生活をやり玉にあげるのだが、困ったことにロジーも彼女の意見に賛同しているので、彼はどうしようもできないという。
「とにかく助けてくれ」というビンゴのSOSを聞き、バーティーは相談にのってやることにしたが、いざ食卓についてみると思っていた以上にすさまじい。これはどうにかしてやらないと、最終的にビンゴとロジーの仲まで引き裂かれてしまいかねない。そこで、バーティーはジーヴスとともにビンゴ救出作戦を計画。今度みんなで競馬場に遊びに行くことになっているので、その機会を利用してローラを観察し、作戦を練ろうということになった。そして当日、2台の車に分乗して競馬場へと向かったが…。
いつものように冴えを見せるジーヴス。今回はどのような手を使ってバーティー、そしてビンゴの期待に応えるのか。

★所収本
・乾信一郎訳/東成社『天晴れジーブス』(空腹と栄養学)
・岩永正勝・小山太一編訳/文藝春秋『でかした、ジーヴス!』(ビンゴ夫人の学友)


                      (2005.3.23/菅井ジエラ)

 

 

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