シェイクスピアを読む

 

シェイクスピア全作品を読めば、世に存在する物語のあらゆるパターン・設定のほとんどに接することが出来ると言われている。登場人物は時代・民族違えとも置き換え可能で、映画界では現代のイギリス、アメリカ、日本などを舞台に数多くの作品が作られている。そんな普遍性・永遠性を備えたシェイクスピアの作品だが、その量の多さから作品と内容が一致しなくなることもしばしば。そんな時のために分かりやすく作品紹介をしていきたい。

 

シェイクスピアの年譜

1564年 ウォリックシア州ストラットフォードに生まれる。

1565年 父ジョンが市の参事会員に選ばれる。

1568年 父ジョン市長に選ばれる。 

1576年 イギリス初の常設劇場がロンドンに開設される。

1582年 アン・ハサウェイと結婚

1583年 長女スザンナ誕生

1585年 双生児ハムネット(男)とジュディス(女)生まれる

1587年 ロンドンに上京?

1587年 イギリス軍、スペインの無敵艦隊を破る

1592年 ペストのためにロンドンの劇場が封鎖される。

1594年 「内大臣一座」の幹部座員になる

1596年 長男ハムネット死亡。

1599年 「内大臣一座」の本拠「地球座」を開場。共同劇場主になる。

1603年 エリザベス女王逝去。劇団名を国王一座に改名。ペスト流行のためロンドンの劇場が封鎖。

1608年 母メアリ死去。

1609年 ブルック・フライアーズ座を買収し、地球座と二つの劇場を所有。

1610年 故郷に引退

1613年 「地球座」が家事で消失

1616年 死去

1623年 妻アン死去。最初のシェイクスピア全集が出版される。

シェイクスピアの作品(創作順)

「習作時代」

1590〜1592     ヘンリー六世(史劇)

1592〜1593     リチャード三世(史劇)

1592〜1593      間違いだらけ(喜劇)

1593          タイタス・アンドロニカス(悲劇)

1592〜15941594  じゃじゃ馬ならし(喜劇)

1594           ジョン王(史劇)

1594〜1595      ヴェローナの三紳士(喜劇)

1594〜159       恋の骨折損(喜劇)

1595           ロミオとジュリエット(悲劇)

「喜劇時代」

1595〜1596      リチャード三世(史劇)

1592〜1598    夏の夜の夢(喜劇)

1596〜1597    ヴェニスの商人(喜劇)


ヴェニスの商人

ベルモントの女性ポーシャは多大な資産の持ち主で、各国の王侯貴族が求婚に訪れる。
そんな時、ヴェニスに住むバサーニオーは、ポーシャの噂を聞きつけて自分も求婚者に名乗り出たいと思うのだった。しかし、気持ちは一人前だが如何せんバサーニオーには資金力がない。

そこで、バサーニオーの友人でヴェニスの商人のアントーニオーが友情の証としてその資金を貸すことを約束する。ところが、アントーニオーは多大な資産を航行中の船に積んでいて手元にお金がない状態。結局、最後の手段を講じる。アントーニオーはユダヤ人の高利貸しシャイロックからそのお金を借りるのだった。

アントーニオーはこの時、期日までに借金を返せなかった場合、自らの胸の肉の塊を切り取って差し出すという、自らの命をかける約束をシャイロックと結んでしまう。


バサーニオーはアントーニオーに融通してもらったお金を活用しベルモントのポーシャのハートを射止めることに成功し二人は結婚することになる。そんなある日、アントーニオーの船が嵐で座礁したという噂が流れる。アントーニオーはたちまち窮地に立たされることになる。


なかでも、キリスト教徒に対して激しい恨みと妬みを持つシャイロックは是が非でもアントーニオーの命を貰うべく裁判を起こすのだった。シャイロックの手元には約束を記した証書がしっかりと握られている。

そこで活躍するのが、バサーニオーと結婚したベルモントの女性ポーシャだ。シェイクスピア喜劇でお馴染みの溌剌とした良家のお姫様がそのやんちゃぶりを申し分なく発揮するのだ。


自分の為に命を犠牲になろうとしている友人のためにバサーニオーはポーシャから借りた金で、アントーニオーがシャムロックから借りた額の数倍多いお金を返すからと許しを願う。しかし、シャムロックは一向に聞く耳を持たず、ただ自分はアントーニオーの胸の肉を切り取ることだけを望んでいると言う。


そこへ、少年ような出で立ちの小柄な学者がやってきて、アントーニオーの処遇を判断することになる。その学者こそ、バサーニオーの妻ポーシャが変装した姿だった。ポーシャは持ち前の頭の回転の良さを発揮して、徐々にシャイロックを追い詰めていく。

アントーニオーの罪もなくなり、シャムロックも駆け落ちした娘と復縁が約束されたりと登場人物全員が幸せになり幕を閉じるのだった。

ただ一人、タイトルにもなっているヴェニスの商人であるアントーニオーだけが誰とも結ばれないで、単なるいい人で終わるという皮肉な面もこの話にはある。

1597          ヘンリー四世(史劇)

1597〜1598    空騒ぎ(喜劇)

1598〜1599     ヘンリー五世(史劇)

「悲劇時代」

1599          ジュリアス・シーザー(悲劇)

1593〜1600      お気に召すまま(喜劇)

1600〜160       ウィンザーの陽気な女房たち(喜劇)

1600〜1601      ハムレット(悲劇)

1601〜1602       トロイラスとクレシダ(悲劇)

1602〜1606      十二夜(喜劇)

1602〜1603       終わりよければすべてよし(喜劇)

1601〜1602・6    マクベス(悲劇)

1602           オセロー(悲劇)

1604〜1606     目には目を

1604〜1606      リア王(悲劇)

1606〜1607      アントニーとクレオパトラ(悲劇)

1607〜1608      コリオレイナス(悲劇)

1607〜1608     アセンズのタイモン(悲劇)

「浪漫劇時代」

1608〜1609     ペリクリーズ(喜劇)

アンティオケの王アンタイオカスは娘の夫を募集していた。

アンタイオカスの娘は類まれな美貌の持ち主だった。

娘を溺愛するアンタイオカスは志願する男たちに

ある質問をして、答えることができたら娘を与える約束をする。

 

しかし、答えられない場合は処刑されるという条件を出したのだった。

 

沢山の候補者が殺されていく中、ツロの王ペリクリーズも立候補して

アンタイオカスと対面し例の質問を浴びせかけらける。

その質問とは、アンタイオカスと娘の関係を暗示するものだった。

ペリクリーズは答える。

アンタイオカスと娘は近親相姦の関係だということを。

正しい答えを出したところで候補者たちは殺される運命だったのだ。

王は自分の娘に対する愛を確かめるために、娘の婿を探していたのだ。

ペリクリーズは窮地に立たされる。

夜の闇をかいくぐって追っ手から逃げる。

ペンタポリスの王サイモニティーズに助けられたペリクリーズは

その人格が認められて、サイモニティーズの娘と結婚することになる。

 

アンタイオカスとその娘が馬車で移動中、稲妻に当たり火に焼き尽くされたことを知った

ペリクリーズは妻と一緒に船にのって祖国に帰るのだが途中で嵐にあう。

ここからはシェイクスピア十八番の都合の良い展開が続く。

キーワードとしては

嵐、船の転覆、別離、再開、悪人、善人、身分の詐称。

 

大時化での航行中、妻が子供を生むことになる。

子供を生むと、妻は絶命寸前の状態。

ペリクリーズはじめ船員たちは、妻が息をひきとったものと思い

棺の中に入れて海に流す。

ところが、妻は生きていて陸にたどり着いたところを助けられて生き延びることになる。

一方、生まれた女の子供はマリーナと名づけられる。

ペリクリーズ一行は、以前窮地を救ったことのあるタルソの太守クリーオンに娘を預けて

自分たちは緊急の予定があって祖国に向う。

 

クリーオンはわが子のようにマリーナを溺愛するが、

妻のダイオナイザが自分の娘よりマリーナを大切にする様子に嫉妬してマリーナを殺そうとする。

そこへ海賊が現れ、美女と見るやいなやマリーナを売るために連れ去ってしまうのだった。

 

女郎屋に売られたマリーナは女を買いにやってきた男たちに説教を垂れるなどして

貞操をかろうじて保っていたところ、ミティリーニの太守ライシマカスに助けられることになる。

ある日、ミティリーニの海の沖合いにペリクリーズが乗った船が通りかかる。

豪華な船とみたライシマカスはペリクリーズに会いに出かける。

 

ライシマカスはやつれ果てたペリクリーズを見て、この世のものとは思えないほどの美しい歌声の持ち主を紹介する。

その持ち主とは、ペリクリーズの娘マリーナだった。

ペリクリーズの許可を得て、エペソスの女神ダイアナ神殿でマリーナとライシマカスの結婚の儀式が催されることになる。

そこへ生き延びて巫女にやつしたペリクリーズの妻が儀式に参加するために現れる。

ペリクリーズは妻と再会を果たし、娘は良き夫と結婚という大団円で幕を閉じる。

 

 

 

 

 

 

 

1609〜1610      シンベリン(喜劇)

1610〜1601      冬物語(喜劇)

1611〜1612      あらし(喜劇)

 

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