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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1954年(Third Prize)
リチャード・ウィルバー「キャッチボール」


スコーは、マンクとグレニーが芝生でキャッチボールをして遊んでいるのを見ていた。二人とも中学一年にしてはうまかった。しばらく経った時、グレニーがスコーに気づき、「グラブをもってるかい?」と声をかけてくれる。スコーは、持っていないけれど「ゆるいゴロならとれるぜ」と言って参加させてもらうことにした。初めの五分間くらいは三人で三角形になって投げ合っていたが、そのうち、グレニーがあと五分ほどマンクとキャッチボールをして、その後グラブを貸すとスコーに提案した。スコーは「いいとも」と言ってリンゴの木の下で腰を下ろした。
しかし、何分経っても一向に変わってくれない。スコーは「まだ五分たっていないのかい?」と聞くと、マンクは「あと一分くらいだ」と答える。それから数分間経ったが。やはり二人が変わってくれる気配がない。スコーはしびれを切らし、木を登っていってしまって……という話。
青木氏によるものだろうか。本編のはじめに著者ウィルバーの簡単な説明が記されているが、彼は小説家としてより詩人としての方が有名だ(った)とのこと。そう言われてみれば、詩人が書いたような作品だと思えてくる。
しかし、この作品に限っては「良さ」があまり理解できなかった。前述の説明の最後に“微妙な少年の心の動き、また行動を捕らえた好短編である”とあり、また1954年のO・ヘンリ賞Third Prizeを獲得した作品でもあるが、「微妙な」心の動きがあまりにも微妙すぎて、個人的にはなぜこれがThird Prizeなのか分からない。単にこの作品が有名な詩人ウィルバーが著した処女短編だったからというのが理由なら、ちょっとご愛敬すぎるのでは?
(志摩隆訳・青木日出夫編/角川文庫『ニューヨーカー短編集』所収)
                      (2005.02.24/B)

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