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O・ヘンリ賞受賞作品を読む




1985年
トバイアス・ウルフ「シスター」


ある秋の日のこと。兄は趣味のハンティングをしに友人と出かけたため、マーティーは家でひとり留守番をしていた。ドーナツをかじりながら台所の窓越しに体育練習場を眺めていると、ふたりの男とひとりの女が運動をしているのが見えた。そのうちのひとりの男は寒い日にもかかわらずシャツを脱いでいて、見事に日焼けした肌が遠く離れた彼女にも見えた。それを見て彼女も外に出かけることにした。ジョギングウェアに着替え、アディダスの運動靴を履く。新しく買った白い靴は足が大きく見えるので、古いものにするという念の入れようだ。そしてジョイント(マリファナ)をトレーナーのポケットに突っ込んで外に出た。
夕方になろうという時間なので、外は寒かった。マーティーは公園の方に向かうと、さっき見たうちの女性の姿がなくなっていて、男ふたりだけになっていた。マーティーはジョイントを吸いたいという衝動を抑えながら、練習場に急いだ。
マーティーはそこに着くなり驚いた。もうひとりの方の男とは、以前バーで一緒に酒を飲んだことがあったからだ。彼女はそのまま帰ろうかと思ったが、もう遅い。しかし、当の男(ジャック)はマーティーを覚えていないようで、彼女に声をかけてきて…。
マーティーの生活の中では、異性と巡り会うということが多くないらしい。兄の家で暮らしながら、バーに飲みに出かけたり、窓外に見かけた男性も品定めしに行ったりしてしまう。日々の退屈をまぎらわすためにジョイントを吸う毎日。理想の男性にめぐりあいたいとストラグルしているマーティーの姿は何ともいじらしく、応援したくなってしまう。
(飛田茂雄訳/中央公論社『バック・イン・ザ・ワールド』所収)
                           (2004.9.28/B)

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