P・G・ウッドハウスを読む



「愛読者漫談(My Gentle Reader)」(1930)



読者にまつわるエッセイ。郵便が普及してくると、ファンレターの数で作家の人気度が分かるということを(半分創作を交えながら?)面白おかしく書いている。
ウッドハウスが言うには、残念ながら彼の作品は病人や囚人、犬泥棒といった特殊な人間しか読んでいないらしい。何故なら、元気な時はウッドハウスの作品なんか読まずに、外に出て太陽の光に当たっている方がよっぽど良いからだそうだ。(もっとも、“そうでなければ幸いである”とも書いているが…。)
このエッセイの中では、まずゴールズワーシーやキップリング、ベネットやウェルズといった人気作家たちも、ファンレターの数を気にしているに違いないということにふれ、次に病人や刑務所にいる囚人から実際に手元に届いた手紙の内容について紹介。最後に、ある日体験したエピソードを披露している。
そのエピソードとはこんな話。
それは昼食の席でのこと。上品な風貌の老婦人が彼を認めるなり、馴れ馴れしく話しかけてきたそうだ。「今日は先生にお目にかかれまして、こんな嬉しいことはございません。私は先生の御作をほとんど全部読ませていただきました。」
ウッドハウスは身内にでも病人がいるのかと婦人に聞いてみるが、みんな丈夫とのこと。こんな読者もいるのかと嬉しく思っていたが、いろいろ話し込んでいるとやっぱりそうだ、案の定、最後に大きなオチが用意されていた。
ウッドハウスはエッセイもたくさん残しているが、翻訳はあまりされていない。この作品の原題は調査中だが現在のところ不明。“Louder and Funnier”というエッセイ集に収められている“My Gentle Reader”ではないかと思っているが、原書未見のため、あくまで推測の域を脱していない。もし、この件についてご存知の方がいらっしゃれば、ぜひご教示願いたい。


★所収本
・訳者不明/「新青年」昭和7年新春増刊号(愛読者漫談)

                      (2005.4.1/菅井ジエラ)

※【附記】タカギさまより、本作品は“My Gentle Reader”に間違いないというご指摘をいただきました(VINTAGE版“Louder and Funnier”より)。ありがとうございました。(2005.6.10)
※海外のサイトで“Wodehouse, P. G. My Gentle Readers. New York: Vanity Fair, Aug. 1930. ”の記述が見られました。
(http://oasis.lib.harvard.edu/oasis/deliver/~hou01717)(2013.4.4)

 

 

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