P・G・ウッドハウスを読む



「あくなき挑戦者(The Go-Getter)」(1931)


エムズワース伯爵の息子フレディ・スリープウッドは、アメリカのドッグフード会社の社長令嬢と結婚して以来、同社製品の販売実績を上げることだけに全身全霊を捧げていた。
目下の標的は、レイディ・アルスターことジョージアナ叔母。4匹のペキニーズと2匹のポメラニアン、それにヨークシャー・テリア1匹、シーリハム5匹、ボルゾイ1匹、エアデール・テリア1匹を飼っている強者だ。フレディは、彼女を攻め落とせば愛犬家の世界で評判が立ち、これからの営業がしやすいと考え、あの手この手を使って何度も営業攻勢をかけていた。
しかし、当のジョージアナ叔母はそんなフレディの努力には見向きもしなかった。というのも今ある悩みを抱えていたからだ。その悩みというのは、彼女の娘ガートルードの行動だった。ガートルードはフレディの親友でもあるルパート・ビンガム牧師と婚約していながら、現在城に長期滞在中のテノール歌手オーロ・ワトキンズに熱を上げてしまっていたのだ。最近ガートルードは、このテノールと毎日くっつきっ放し。叔母としては前途ある牧師を放り出して、ろくに仕事にありつけない唄歌いとどうにかなってしまわないか気が気でならなかった。
ジョージアナ叔母は、以前ガートルードとルパートの仲をとりもったフレディに、二人の関係の修復をお願いするが、フレディはそれよりもドッグフードの営業にご執心の模様。どちらの問題も良い方向にはなかなか進まず…。

ルパートが飼っている犬を借りてきて、叔母の前で実演しようと試みるフレディ。その試みが思わぬ騒動を巻き起こし…。
必死の営業を展開するフレディに、その行動を煙たがる叔母、それにあくまでもマイペースのエムズワース伯爵。そして真打ちはヒーロー、ルパート・ビンガム。
登場人物それぞれのキャラクターが面白く、オチがしっかり利いていて気持ちよい。

★所収本
・岩永正勝・小山太一編訳/文藝春秋『エムズワース卿の受難録』(あくなき挑戦者)
                      (2007.3.23/菅井ジエラ)

 

 

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