P・G・ウッドハウスを読む



「退屈の狩人、ダドリー・ジョーンズ
(Dudley Jones, Bore-Hunter)」
(1903)


私の友人で、ベスビアス山の頂上で非業の死を遂げたダドリー・ジョーンズは生涯退屈と戦った男だ。
その彼が生前に手がけた事件の中でもっとも重要なもの。それはダドリーを訪ねてきた女性の話から始まった。
「二か月前まで、私は父と二人だけでこの上もなく幸せな生活を過ごしておりました。それから伯父のスタンレー・ペティングルーさんがやって参りました。その日から私達の生活からは、幸せという言葉は消えてしまったのです…」。
この伯父は“死ぬほど退屈な人物”で、このままでは彼に発狂させられてしまうというのだ。助けてほしいと願う彼女に救いの手を差し伸べるダドリー。
2日後、ダドリーは彼女たちの住む屋敷に乗り込むことにした。
「僕は一族の友人、ということでペティグルー家へ赴くんだ。君はその従僕、という役割だよ」
…こうして、ダドリーと私は無事に屋敷に忍び込んだが…。
自他共に認めるシャーロキアンのウッドハウスが著した不思議な探偵小説。ダドリーと私の関係は、その後のバーティーとジーヴズの関係を少し連想させる。

★所収本
・高田寛訳(?)/河出書房新社『シャーロック・ホームズ全集8 シャーロック・ホームズ最後の挨拶』(退屈の狩人、ダドリー・ジョーンズ)

                      (2006.3.18/菅井ジエラ)

 

 

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