P・G・ウッドハウスを読む



「モリアティ教授の正体
(Introduction in the Sign of Four)」
(1975)


コナン・ドイル『四つの署名』(バランタイン・ブックス版/1975)の序文として発表された、ホームズの好敵手であるモリアティ教授について彼得意のユーモアで持論を述べた掌編。
シャーロック・ホームズの財源問題を依頼主たちの職業やワトスンとの会話などから推察し、独自の理論を構築している。
ここで注目したいのは、1959年5月に英国の“パンチ誌(Punch)”に発表された「マリナーの偉大な勝利(From a Detective's Notebook)」という作品の存在。この作品は私立探偵のエイドリアン・マリナーが、喫煙室で誰も相手にしてくれない中、自慢の推理力によってホームズの秘密に迫っていくという話だが、ほとんど内容が重複していることから、本編(「モリアティ教授の正体」)は、この作品を練り直したものといってよい。

★所収本
・東山あかね訳/西武タイム・パシフィカ『名探偵読本─I シャーロック・ホームズ』(モリアティ教授の正体)

                      (2005.6.4/菅井ジエラ)

 

 

「P・G・ウッドハウスを読む」ページトップヘ
「文芸誌ムセイオン」トップヘ

All Rights Reserved Copyright (C) 2004-2016,MUSEION.

 

inserted by FC2 system