志賀直哉を読む




「鰐狩紳士」


二人の若い紳士が鰐狩りに出かけた時の話。
鰐を見つけた二人は藪蔭に隠れ、一斉に射った。そしてちゃんと仕留められたかを確かめに行くと、
一人は鰐のそばにいた海亀を間違えて射ってしまっていた。
「相変わらずあわて者だなあ」と話す男に向かって、
もう一人の紳士は「俺は初めから、こいつをねらって射ったんだ」と答える。
そして“とっておきのジョーク”を一つ。

ここ最近、アンソロジーとして編まれたものもよく見かけるようになった、超短編というジャンルに入る一発もの。
いや、志賀直哉にこんなお茶目な一面があろうとは…。当時は阿野仁益(あのにます)という匿名で発表したとか。そりゃそうでしょうね。
                      (2005.4.29/菅井ジエラ)

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